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Channel: ジミー矢島の日記 | 高円寺ライブハウス ペンギンハウス
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仲田修子;ダウンタウンブルース  19

二日後、絵理菜さんが私に小さな紙切れを渡した。それには、「ピアノ、ベース、ドラム、ギター、トランペット×2、トロンボーン、テナーサックス、アルトサックス」、とだけ書いてあった。 「これ、そのバンドの全員なの?」 私は聞いた。 「うん、それでそのトランペットの一人がバンマスなんだって」...

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仲田修子;ダウンタウンブルース  20

数日して彼女はすぐにメロディを覚えた…私のわたした紙を持って、今度は彼女が歌った。最初「 ここは下町……」という所で間違えた。ここだけは仕方無く小節の頭からでなく、一拍休んで「ここは……」と出るように作ってあった。私はできるかぎりわかりやすく説明をくり返し、彼女は歌った…お客がくるまでの間中…。 「うるさくてたまんないよ、同じ歌ばっかし聞かされてさ!」 案の定雪乃さんがイヤミを言い出した。...

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仲田修子;ダウンタウンブルース  21

「あの…それからですね、イントロと間奏は両方八小節にして、全く同じフレージングにして下さい。これ2(トゥ)コーラスしかありませんけど、そのあとサビから歌ったりしませんからそのままエンディングにして下さい。エンディングはなるべく派手に、何小節でもかまいません」 「何か変った注文だね…何でハーフやってサビ歌わないの?」 「いや…色々事情がありまして…」 「ふーん、そうなの…」...

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仲田修子;ダウンタウンブルース  22

アレンジ譜が出来てきた。私はそれを必死で「解読」し、特訓を始めた。 「あのね、最初トランペットから出るからね、とにかく一二三四、二二三四、と数えて、四二三四まできたらもう一回同じように数えて、歌ってね、間奏も全く同じだから、同じに数えて二番歌ってね、じゃ、その通りの長さで弾くからね!」 絵理菜さんは表面いやいややっているように見えたけれど、「やる気」が出ているのは手に取るようにわかった。...

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仲田修子;ダウンタウンブルース  23

七時ちょっと前、次々とバンドの人達がやって来た、私は彼に言われた通りにし、ダンスフロアの真ん前、一番前の席に座らせてもらった。すぐに演奏が始まった。歌謡曲をマンボとかルンバとかにアレンジした曲が続いた。私はてっきりジャズをやるのだと勝手に思い込んでいたので少し驚いた。...

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仲田修子;ダウンタウンブルース  24

拍手ひとつ貰えず引っ込んだ彼女を追って私は楽屋に飛び込んだ。 「絵理菜さん!私の声聞こえなかった?」 「ああ、聞こえたよ…」 「じゃあ、何で二番歌わなかったの?」 「だって、格好悪いじゃない、途中から歌うなんてさ」 彼女はそう言ってタバコを銜えた。私は呆然として黙った。しばらくの間沈黙が続いた。...

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仲田修子;ダウンタウンブルース  25

その店で仕事をするのはあと一週間足らず、という時だった。まだお客は一人も入ってこない…相変らず敵対する二つのグループは別れて座り、雪乃派の中でミツコが何やらはしゃいでいた。 「ミツコちゃん、どうしたの?何かうれしそうだけど…」 私は不思議に思って声をかけてみた、以前あんなに騙されて泣いていたのに、一体どうしたのだろう。 「ああ、先生、私、今度すごい『先生』に認められたんです!」...

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今日で30年

いよいよ今日・・・ ペンギンハウスは誕生してまる30年を迎えました 30年と一言で言うのは簡単ですがここまで来る道のりはそれはそれは・・・ 僕ジミー矢島はオープンからに2年弱・・・それと2012年の4月から今日までの2年と半年ほどしかその中には居ないのですが、その僕でもこの年月の重みをひしひしと感じます...

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仲田修子;ダウンタウンブルース  最終回

「この金取られるといけないから、俺、ずっと見張っている!」 一人の見物人の男がそう言って老人の横に立った。 「ここは下町だからね…みんな人情があるんだよ…」 私の隣りに立っていたマネージャーは、誰に言うともなくそう言い、千円札をそっと紙の箱に入れた。気がつくと私の店のホステス達もみんな出てきて一かたまりになっていた、絵理菜派も雪乃派もなかった。彼女達もそれぞれ百円玉を箱に入れた。...

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仲田修子;ダウンタウンブルース  後書き

仲田修子「ダウンタウンブルース」を読んで下さった方々へ 最後まで読んで下さって本当に有難うございます。 これは私が若いころに生活苦のために?音楽をやるようになったいきさつと、その初期のころ、ほぼ実際に起きた出来事を小説風にまとめたものです。 現在とは随分違う社会や生活・・・でもその中にも現在と通じる人間のあり方や感情・・・そういったものを少しでも感じて共感して頂けたら幸いです。...

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仲田修子;ダウンタウンブルース 編集者より

皆さま、仲田修子の「ダウンタウンブルース」はいかがでしたか エピソードがぎっしり詰め込まれたお話のほぼすべてが「実話」だということに驚かされると同時にあの時代の日本の中で色々なものが動きつつ少しずつその色合いを変化させてゆく時だったんだなあ・・・と僕は感じています...

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僕らの北沢話  9

このあいだ、ペンギンハウスでの仲田修子ライブのあと マスター亜郎とギターの有海がこんな会話をしているのが耳に飛び込んできた 亜郎「あなたが最初に僕らのアパートに来た時、ちょうど僕らが購入した冷蔵庫が配達されて届いたときだったんだよね」 有海「そうそう・・・初対面で”どうも~今日は”というか言わないかで”ちょっとこの冷蔵庫運ぶの手伝って”ってね(笑)」 亜郎「ああ、そうだったねえ...

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僕らの北沢話  10

さて、「ツッパリング」という言葉が出てきたところでこの「ツッパリ」というものの歴史を主にビジュアル面でちょっと紹介してみようか ツッパリの歴史は旧い たとえば明治時代ごろ「バンカラ」と称して「弊衣破帽」というスタイルで異彩を放つ輩がすでにいたのだが、もっと古くは江戸時代以前に「かぶき者」なる連中が居たわけだから、日本に綿々と続く「ツッパリの伝統」は奥が深いのだ...

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僕らの北沢話  11

さて、仲田修子の「ツルの一声」で「やろうやろう!」ということになった僕らの「ツッパリング」 まずは風体をそれらしくするところから始まる 当然髪型は「リーゼント」ということになる リーゼントヘアーに関してはもう「オーソリティー」といえる増田の指導の元、それぞれが髪を櫛でなでつけ形を作っていく それまでリーゼントヘアーにするために必要なアイテムといえば「ポマード」「と「チック」と決まっていた...

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僕らの北沢話  12

とりあえずどこかに入ろうか・・・ということになって僕らはある一軒のファーストフード店に入った 全員がこれでもかと言わんばかりに肩で風切って思いきり悪そうな表情を作りながら・・・ 異様な風体のそれもかなりの人数の一段がどやどやと店に入っていったので店内はまたたくまに「フリーズ」していた そこはたしかフランチャイズのドーナツショップだった お...

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僕らの北沢話  13

第二回目の「ツッパリング」のとき、瀬山研二はすごく嬉しそうにカンフー服を着てやってきた 大人しい普通の青年・・・だと思ってた僕らはそれがまったくの誤解だということに気づいた 彼はそれまで北沢アパートに来た誰よりもエキセントリックでかなりぶっ飛んでいた...

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僕らの北沢話  14

毎月一回のペースで開かれた「ロウソサエティー月例コンサート」 その会場になってた井之頭公園の野外ステージ・・・これはいつ頃からあるんだろう 僕の子供の頃からあったのは間違いないから最低でも50~60年は経っていると思う 吉祥寺駅から井之頭通りを渡ってまっすぐ・・・今はすっかり模様替えしてしまった「いせや公園店」の前を通り階段状の坂道を下ると池の正面に出る...

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僕らの北沢話  15

「天敵」という言葉をwikipediaで検索してみると次のような説明になる   天敵とは、特定生物の死亡要因となる生物種のことである。 “生物学”以外では、不倶戴天の敵、自分が苦手とする人という意味などで使われることがある。   僕が使ってるのは当然「後者」としての意味だ 苦手・・・というか、全然かなわない・・・お手上げといった感じかなあ・・・それは...

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僕らの北沢話  16

修子の当時のユニット名は「仲田修子&ペーパーナイフ」と言った 編成は 仲田修子(ag/vo)、有海治雄(ag/cho)、増田耕作(eb)の3人 曲はすべて修子のオリジナルで今の彼女がそうであるように当時もブルースだけでなく色々な音楽のエッセンスが入ったものすごく独特でクオリティーの高い曲ばかりだった...

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僕らの北沢話  17

前の「僕の吉祥寺話」で触れたが仲田修子たちと僕の出会いは吉祥寺の「ぐゎらん堂」だった その頃何度かそこに出演していた彼女たちだったが、ところで彼らとぐゎらん堂に多く居た「武蔵野グループ」たちとの接触や交流はあったのだろうか 結論から言うとあったことはあった しかしそれは進展することは決してなかった それには理由がある 当時のある出来事がからんでいた...

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