僕の八ヶ岳話 69
僕が勤務していた「アルパインカントリークラブ」「ザイラーバレー」は八ヶ岳の東山麓の突き当たりにある ちょうど八ヶ岳の火砕流が秩父連山に連なる山々に突き当たって止まったようなところ・・・だけらここからの眺めは広大に広がる八ヶ岳の裾野が一望できるそれは眺めのいいところだ...
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清里の僕の家のあるところが標高1100m、ここでも真冬はマイナス10度以下に下がる 「ザイラーバレー」のあるところは大体標高1400m・・・だから真冬の寒さはそれどころではない そういえばこのゴルフコースにはある注意書きを書いた看板が立っている それには 「当ゴルフコースは気圧が低いため平地よりも2割ほどボールが遠くへ飛びますのでご注意下さい」・・・と書いてある そう、空気が薄いのだ...
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その機械は「ジェットヒーター」という名前が付いている 基本的にはストーブだが、灯油を燃やしてできた熱気をブロワーのファンで前方に吹きつける・・・ちょっとしたジェットエンジンみたいなのだ これを凍りついた車のエンジンに向けて熱風を吹き付ける すると1時間もしないうちにエンジンルームが暖まり冷却液が溶ける これで片付けばハッピーエンドなのだが、さらに深刻な事態が起きてる場合もある...
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ピーク時のスキー場はそれこそ信じられないくらいに混み合っていた 施設内の駐車場はかなり広くしてあったが、それでも車が入りきれない カントリークラブの敷地入り口には入場制限のゲートが設けられ、そこから長い車の行列がずうっと続く ピーク時にはスキー場からなんと中央道の「須玉インター」まで渋滞がつながった その混雑に目ざとい地元の農家や酪農家が目をつけた...
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そもそもタイヤチェーンを装着するときの鉄則は「雪道に入る前に巻く」ということだ ノーマルタイヤで雪道に入っていよいよスリップして動けなくなるところでチェーンを巻き始めるのは決して勧められない まずチェーンの巻き方だが2つの方法がある ひとつは車を停止させて巻きつけるタイヤにチェーンを被せてゆく・・・これはかなり難しい作業で、よほどやり慣れていない運転手はまず手こずる...
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もうすでに告知させてもらってますが、今週の17日土曜日にペンギンハウスで初の試み 「縄文トークショウ」が開催されます 話をして下さるのは長野県の諏訪に近い富士見町にある「井戸尻考古館」の館長である小松隆史さんです 実はペンギンハウスの店長ジミー矢島と小松氏は長いお付き合いをさせてもらってます もう今から10年ほど前、八ヶ岳で暮らしていた私ジミーはある日ふと思いついたように井戸尻考古館を訪れました...
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家に帰ってからも私はその日初めて見た縄文のさまざまなものの姿が目に焼きついていてずうっとそのことを考えていました 「あれは・・・一体・・・何だったのだろう」 その次の日もその次の日も・・・そしてまるで催眠術にでもかかったようにその1週間後、またも井戸尻考古館を訪れました 私の顔を見た受付の女性はちょっと驚いたような顔をしていました 私のことを覚えていてくれたようでした...
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小松さんは笑顔を浮べながら私に言いました 「よほど縄文がお好きなんですね!」 そりゃそうだろう・・・こんなシーズンオフの平日の寒い中2週も続けてやってきて1時間以上も見学を続けるなんて・・・余程の変人だ そこで私はこう答えました 「いえ、今まで縄文に対してそこそこ興味も知識も持ってました...
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私はその後も機会があるたびに井戸尻考古館を訪れました いつしかなんだかVIP待遇をされてるような状態になっていました 行くたびに小松さんとは本当にたくさん色々な話をしました それも私が一方的に彼の話を聞くだけではなく、音楽をやっている人間からの視点で縄文について語る私の話を小松さんはとても喜んで聞いてくれました...
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井戸尻考古館は「長野県諏訪郡富士見町境」というところにあります 駅でいうと中央線の「信濃境」というたいへんローカルな駅から、歩くと15分くらいのそれもかなり引っ込んだ農道の途中にあります 八ヶ岳山麓のこのあたりは本当に田舎らしいのんびりとした農村地帯です でも・・・信じられないでしょうが、ここは縄文時代の中期から後期にかけて日本の中心地だったのです...
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いよいよペンギンハウスでの井戸尻考古館の館長の小松隆史さんのトークショーは明日になりました。 今回私はこのイベントの企画者として、またこのイベントに華を添えるべくライブをやってくれる仲田修子のバックアップギタリストとしての役目も担うことになりました。 とにかくなるべく多くの皆さんに来て欲しい・・・これはじつはもう何年も前からの私の願望でした...
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さて、前回からずいぶんと間が空いてしまってちょうど1ヶ月になるけど、ええとどこまで話したんだっけ? そうそう、真冬のスキー場でのアンビリーバブルなトラブルのお話でしたね OLYMPUS DIGITAL CAMERA とにかく冬はやっかいなことが多かった 僕がそこで勤めていた間で一番気温が下がったときがマイナス25度・・・こうなるともう「寒い」という感覚は無くて「痛い」という感じになる...
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さてさて、真冬にはもう本当にとてつもなく過酷な八ヶ岳だが、春になるとその環境はがらっと変わる 春・・・と言っても八ヶ岳の野辺山・・・標高1300m以上のこの地の本格的春はもう4月の中旬ぐらいからだ 遅い遅い春・・・それを待ちかねたように野山の植物は一斉に新芽を出す その様子はいつ見ても本当に美しく嬉しくなるのだ 嬉しさをさらに加速させるものがある それは「山菜」...
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タラノメ・・・たらの芽・・・それは僕も知ってる山菜だった ただ、僕が知ってたのは八百屋やスーパーの野菜売り場で、パックに詰められたなんか緑色であまり存在感もない「菜っ葉」みたいなものだった 食べても特にどうってことは無い味・・・まあ不味くはないけど美味しいとも別に思えない代物だった しかし、そのとき僕が目にしたのはそれとは全く別物だった まず大きさがまるで違う...
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Nさんからは色々なことを教わった どういう山菜がどういう時期にどういう場所によく出るか・・・見分け方とか・・・ とにかくNさんと一緒に山に入ると僕なんかが全く気がつかないところに山菜を見つけ出す、そのアンテナはものすごい感度を持っていた 「ほらほら、矢島さん・・・あんたの足元にあるじゃんけえ!」 言われてふと足元を見る・・・ん?・・・何も無い???...
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秋には今度はキノコのシーズンがやってきた このときのやはりNさんは僕を山へ連れてってくれた 実は標高が高い八ヶ岳にはそれほど多くの種類のキノコが出るわけではない しかし、カラマツが圧倒的に多いこの地域ならではの産物があった その名前は「ジコボウ」あるいは「ジゴボウ」という・・・正式には「ハナイグチ」と呼ばれるキノコで、これは必ずカラマツの森の中に出てくる...
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キノコにはやはり山菜と同じように食用にできるもの、食べられないものさらには有毒なものがある 毎年キノコシーズンになると「毒キノコを食べて中毒した」というニュースが聞かれるが、それだけ食用と有毒のキノコを見分けるのは難しい ときには「プロ」でさえ間違えることもあるくらいだから、まあ素人は手を出さないのが賢明だ どちらかと言えば食用のものより毒キノコのほうが種類は多いようだ...
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八ヶ岳のリゾート施設のフロントの仕事に就いてそろそろ3年が経とうとしていた 僕はここの環境にすっかり満足していた 夏と冬のトップシーズンを除けば仕事もかなり楽だったし、職場の人間関係も良かったし、周りは大自然に囲まれ、春は山菜、夏は渓流釣り、秋はキノコ、冬はスキー・・・と僕は八ヶ岳での生活にとても満足していた 東京に居た頃の息苦しさも全くここには無かった...
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当分は今までの会社に勤めながら僕はその非番の時間を利用して蕎麦打ちの修行に入った 修行先は僕を誘った「社長」に紹介された、甲府市内にあった一軒の蕎麦屋だった そこは甲府の中心部からは少し離れていて温泉旅館が並ぶ一角にあった...
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やがてガス台の上に置かれたボウルから湯気が上がり始めた するとおやじさんは冷蔵庫から菓子箱のようなブリキの器を取り出すと、そこから無造作に生蕎麦の束を掴み湯の中に入れた ちらっと見たそれは普通の蕎麦に比べると少し黒っぽかった これは期待できる・・・かも 蕎麦には色々なものがあり真っ黒なものから逆にそうめんのように真っ白なものまで・・・僕はどちらかといえば黒目の蕎麦が好きだ...
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